IE9ピン留め

『朝鮮語を考える』

한 국민이 다른 나라의 노예가 된다고 해도 자기 나라 말을 잊지 않고 간직하면 그 감옥의 열쇠를 지니고 있는 것과 마찬가지다.
ある民族が他国の奴隷となっても、自国語を忘れずに保っているかぎりは、その牢獄の鍵を握っているようなものだ。

―알퐁스 도데 ‘마지막 수업’ 중에서―
―アルフォンス・ドーデー「最後の授業」より―

地元の図書館でたまたま出会った本です。

『朝鮮語を考える』塚本勲著 白帝社2001年5月刊


著者は、収録語数23万、2800ページを超える世界最大の朝鮮語辞典だという『朝鮮語大辞典』全3巻の編者です。『朝鮮語大辞典』は近所の図書館で「禁帯出」扱いになっていて、手持ちの辞書で見当たらない時に何度か開いて見たことがありました。その辞書が誕生するにあたり、妨害もふくめ壮絶なドラマがあったことをこの本『朝鮮語を考える』で知りました。
四十数年前、わたしはアフリカの言葉を学ぶようにして、朝鮮語を学んだ。「アフリカの言葉を学ぶように」というのは、辞書なし、参考書なし、教師なし、ということである。それにまだ朝鮮半島にいくこともできなかった。
ただひとつ残された方法として、京都朝鮮高校の講師をしながら、在日朝鮮人から直接ナマの朝鮮語を学ぶことで修得していったといいます。

朝鮮語を学ぼうとして朝鮮語辞典を探し歩き、全く出版されていないことを知り不思議な気持ちになる。不思議な気持ちは、だんだん、「なぜ出版されないのか」と好奇心に変わり、好奇心は少しずつ、長い時間をかけて怒りに変わっていったといいます。朝鮮民族が独立して11年である1956年のことです。上にあげた「最後の授業」の一節は、この本の中で何度か引かれています。苦しい辞書作りの中で「牢獄の鍵を握る」ために命をおとした人を思ったとあります。

1961年に朝鮮学科があったのは天理大学のみ、朝鮮語の講義が一・二コマあったのが、京都大学、大阪外国語大学、早稲田大学、東京教育大学だけという状況だったということなど、今から考えると信じられない現実にあったことがわかります。前書きで、「近頃韓国に興味をもつようになった人々に読んでもらいたいと思った」と記しています。

戦後の日本国内での朝鮮語の位置、在日朝鮮人のおかれた状況、日本と朝鮮半島にかかわる差別と親善について、これらに関心のある人には興味深いことと思います。興味をもたれた方は、近くの図書館で探してみては如何でしょうか。



過去の事実を積み重ねるようにして書いたという中に、いろいろなエピソードがあげられています。ひとつだけ紹介するのに最適かどうか迷いながらですが、著者の姿勢がわかると思いますので・・・。
三年程まえ、京都で日韓親善の学術交流会があった。夜は河原町で懇親会があった。十名ほどの韓国の学者と話していると「朝鮮語大辞典」を使っていると、誰かがいった。「辞典」を評価してくれた。しかしそれは海賊版であった。ひとりひとりの人にわたしが確認したが、五・六人の学者がみな海賊版を使っていた。酒が入っていることもあって、わたしは「韓国は88年のソウル・オリンピックの時に近代国家に仲間入りするといって万国著作権協会に入ったのではないか。それがいまも守られずに海賊版を使っているのはおかしいではないか。ことにこの「辞典」は韓国の言葉の辞典ではないか。それを外国人(わたしたちスタッフ)が苦労と犠牲を払いつくりあげたのに、あなた方は韓国人としてそれ認めようとする気がないのだ」と語気鋭く批判した。ひとりの若い助教授が答えた。「日本人は国を盗ったじゃないか」わたしは大きな声をだした。「日本人は国を盗った。だからわたしは四十年、謝罪と新しい親善のためにすべてをかけてきた。あの『辞典』はその成果のひとつだ。あんた方もそれを認めなければ日韓親善なんて永遠にできないのではないか。」懇親会のムードはふっ飛んでしまった。

by isa-syoujiten | 2007-02-25 22:41 | 本との出会い | Trackback | Comments(4)
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Commented by hakhon at 2007-02-26 21:05 x
この本のことは知りませんでした。情報をありがとうございます。購入して読んでみます。
Commented by たま at 2007-02-26 21:24 x
この本だったのですね。探してみます。

不思議なことに日本語と朝鮮語はこれだけ似ているのに対象言語学としての研究があまりないようです。「万葉集では・・」といった読み物はありますが。

韓国語は韓国内では「語学」としてより「国文」の一部の扱いのようですね。NHKテレビハングルの講師をされていた金ジナさんほか日本に留学して「韓国語」を語学として学ぶ若い研究者も多いようです。

さいきんいろんなきっかけもあって言葉についてたくさん考えています。isaさんいつも素敵な本の紹介をありがとうございます。
Commented by isa-syoujiten at 2007-02-27 20:34
◇hakhonさん
著者の塚本勲さんは、北とも南等しく付き合うべきだという考えの方です。在日の人々についても、たくさん学ぶことがありました。
興味深く読んでいただけるといいのですが・・・
Commented by isa-syoujiten at 2007-02-27 21:34
◇たまさん
日本語も、国語でなく日本語としての教育がすすんだのも、そんなに昔のことではないと認識しています。

たまさんのお仕事はすてきだなぁと思います。ずうっとずうっと前のこと、私もたまさんのようなお仕事をしたいと思ったことがありました(〃▽〃)
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「いさのハングル小辞典」をリニューアル。韓国と韓国語が好きな人と交流したいと願っています。2012年は韓国語の勉強はどこまで行けるか(^^*)


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